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地球防衛軍 第2広報課

あばよ涙、よろしく勇気!START ALL ENGINE!ここからが本当の戦いだ!!ヒーロー大好きな彼奴らが、性懲りも無く超短期間で恥もせず帰って来ました!!よろしくお願いしますっ!!

第01話[満月の咆哮]

その日は、よく晴れた満月の夜だった。

「まさかこんな時間になるとは…」

ファミレスで友人の悩み話を聞いていたカナトは、帰り道を急いでいた。もう直ぐ日付が変わる。一人暮らしをしている彼女にとって、それを責めるものは誰1人いないのだが…いや、1人うるさいのがいた。幼馴染のジンだ。

昔は自分の方が心配してばっかりだったが、中学の頃からたくましくなり始め、高校生になった今では兄のように接してくる。

ただ、その関係に不服はない。いや本当は自分の気持ちに気づいて欲しいと思わないでもないが、鈍い彼が変に意識するよりは、この関係を続けていたいのだ。

「心配されるのは嫌じゃないんだけど、同い年に門限で怒られるのはね…」

それだけ大事に思ってくれてるってことなんだろうけど、正直恥ずかしいし、迷惑をかけたいわけじゃない。

大通りを通れば、確実に0時を過ぎる。その前に着くには、人気のない薄暗い公園を抜けるしかない。

「ジンに怒られるから夜は通らない約束だけど、遅くなって怒られるよりかはマシだよね…」

何年かぶりに通った夜の公園は、まるで異世界のような不気味な雰囲気を醸していた。

あたりに人気はなく、強めの風だけが恐怖を掻き立てるように吹いているだけだった。

しかし、それが余計に恐怖を掻き立てる。急がなくていいのに勝手に早歩きになる。

トンネルを抜ければ直ぐに出口が見える。ホッとしたその瞬間だった。

何かを引きずる音が聞こえた。さっきまで後ろを歩く人の気配もなかった筈なのに。

得体は知れないが、このまま走り出しても追いつかれるのは間違いないだろう。ならばせめて姿だけでも…

振り返ろうとした時、青白い光が目の前を駆け抜けていった。

「何!?今の!!」

慌てて振り向くも、光は遥か遠くに消えていき、後ろいたであろう何かも姿を消していた。

 

「ただいま」

少しタイムロスはしたものの、何とか日付が変わる前に帰宅する事ができた。ラインが来ないということはジンのお説教もなしということだ。

「ふう。なんか無駄に疲れた…」

結局、怖くてダッシュで帰宅したため、余分な汗までかいてしまった。

休みたい気持ちを抑えて、シャワーを浴びる。汗で冷えた肌に心地よい暖かさが生きてる実感を湧かせる。もし振り返っていたらと思うと尚更だ。

「あれって結局…」

なんだったんだろうか。姿すら見てない物を探せもしないが、このままでは後味が悪い。

「おばけ?妖怪?怪談…とか?っていっても手がかりもないし判別つかないなぁ…」

ネットで調べるにしても、検索ワードが少なすぎてそれらしいのはヒットしないだろう。そう考えると、探すだけ無駄かも知れない。

「ああ、もう!!忘れよう!それしかない!」

湯船に深く浸かり、天井を見つめる。物心ついた時からこうやって過ごしてきた。多分何かで見た真似なんだろうけど、不思議と効くので重宝している。

 

風呂上がり、携帯を確認するとジンから連絡が入っていた。

「あそこは通るな…ってお見通し!?なんで!」

慌てて返信を打つ。周りに人気はなかったし、家からじゃ公園抜けたか大通りを通ったかなんてわからないし、まさか…

「たまたま入るところを見た…かぁ、びっくりした〜もう驚かせて」

こっちは怖い思いしたってのに。近くにいたら一緒に帰ってくれれば良かったじゃんか!

「バイト中だった…なら仕方ないか…もうしませんっと」

変なこと考えた自分が恥ずかしい。自覚してたよりも自意識過剰なのかも知れない。

モヤついた気持ちを整理するために布団に潜り込んだ。整理つかないときは寝るに限る。明日にはきっと全部スッキリしてるだろうから。

 

「ふう。危なかったぜ…さすがにトンネルですれ違ったなんて言えないからな。危ない目に巻き込みたくはないし」

ケータイを閉じ、ベッドに横になる。それにしても最近数が増えてきてるのは明らかだ。よくわからない連中と鉢合わせになることも増えたし、なんとかなってくれればいいんだけど。

「自分でどうにかするしかないよなぁ…」

せめて一日でも長く、平和な日々を。仮初めでも泣かせないですむように。

「明日は何もないと良いけどなあ…」

電気を消すと、ゆっくりと眠りについた。